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    2011.01.24
  • posted by kenshin.

Peter Ferdinand Drucher








毎年とも言えるが、年末年始には決まって昨年の総括とも題した様々な業界のトピックが話題に上げられた。 日本において、2010年は言い知れぬ不安を覚えて古き良き時代を懐かしむ一方、今の閉塞状況から抜け出す為の「新たな何か」を探してさまよう人々の姿が、浮かび上がってくる。 新旧の価値観が対立、もしくは並立する「時代の臨界点」と数々のマスメデイアが示したのが印象的である。 現状の政治や経済情勢の反映してか、身近なトレンドについてでも、新旧の価値観が対立、あるいは並立している構図がはっきりと見える。
例えば、今年のベストセラーになった本であれば、かの村上春樹の「IQ84」やその他著名な作品を抑え、 岩崎夏海作「もし高校野球のマネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」通称「もしドラ」が空前のベストセラーとなったのは多くの人が購読していなくとも周知の出来事だっただろう。 その状況を深く表したのは、出口の見えない不況の中で、「経営書の古典」とも言われる、P.F ドラッカーに原点回帰しようと言う経営者、更には今まさに社会に飛び立とうとする若者のニーズが高まっている証とも言えるだろう。
では、今、再熱しているドラッカーに回帰している理由はどこにあるのだろう? また、ドラッカーは生前社会や人々に何を伝えてたかったのだろうか?
21世紀に入り早10年も過ぎ去ろうとしても、ますます、経済状況や、あらゆる事に未来を感じる事が出来ない閉塞感があり、日本の文化をも揺るがすほど大げさかもしれないが、人々の心は不安定であり、何らかの糸口を探し模索している。 そんなさなか事実、ドラッカーに出会った多くの人が、その言葉に共感し、感銘し、その根幹の思想を、「人間主義」と形容する識者もいる。 有名すぎるが、ドラッカーの著書の中で「マネージャーの資質」について書かれた言葉にこう記されている。
「人は管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶ事は出来る。管理体制、昇進制度、報酬制度を通じて人材開発に有効な方策を講ずる事もできる。だがそれだけでは十分ではない。根本的な資質が必要であり、最も重要なのは、真摯さである。」 「真摯さ」とは、必ずしも明確な答えがある訳ではなく、哲学的な言い方をすれば、「真摯さ」とは「真摯さとは何かを問うこと」にこそある。 その意味は自らの信念に従って正しいと思う事をやろうとすれば、必ず正しさとは何かという問いにぶつかる。 只、これを考える事が大切であり、重要なのは答えではなく、問いそのもの。 答えは時代によっても変わり、常に陳腐化の波にさらされる。しかし「真摯さとは何か」という問いは、どんな時代も廃れまない。成長する人は"このままで良いのか" と常に自分に問いかける人。 すぐに自分に問いかける人。すぐに答えばかり求め、考える事を放棄するのは自身の怠惰さを証明しているようなもの」だと言う。 現代は誰しもが認識しているように情報社会であり、効率主義や合理主義が重視される側面も強い。 そうした社会の傾向のまま、人はとかく「無駄な事はいや」「失敗したくない」と思ってしまう。特に、現代社会の若者に多いのが今の社会の縮図なのかもしれない。 只、これを一般的な思考の逆説に考える事が、今の現代社会を生き抜くヒントであると言う。 例えば、「本当に合理的な人とは失敗する人です。長期的な視野で考えれば、多くの失敗が自らを成長させてくれる事に気つき、何事にも挑戦するようになる。合理的でない人ほど、短期的視野でしか物事を考えず、失敗を恐れて挑戦を止めてしまう。
これが、すべての事に精通するとかではなく、このような言葉や、思想、または哲学に至るまでクローズアップされている事に現代の人々の心の叫びのように感じる。 今まさにドラッカーの哲学を感じる言葉や、著書が再認識されているのは必然な事なのかもしれません。 只、そこには、どんだけ優秀な教科者やバイブル的な事を読もうが、実際は解決する訳でもなく、道筋にもならない。 すべては、やはり一人一人の人間が自らを問う事でしかない。 しかし、これだけ、低迷した社会や経済であっても、経営学の権威とも言われるドラッカーも忘年95歳の時に唱っている詩が シンプルな結論を至っている。生涯に数十冊もわたり彼が世に送り出したすばらしい著書であるが、 最終的に本当に伝えたかったのは、まさに一人の人間である生の声であり、そして何よりも心に響くものがあった。 今後の社会や、経済がどのように変化しようとも、やはり、自らを問い、真摯である事でしかないのであろう。

「P.F.ドラッカー享年95歳の詩」
もう一度人生をやり直せるなら・・・・

今度はもっと間違いをおかそう。

もっとくつろぎ、もっと肩の力を抜こう。

絶対にこんなに完璧な人間ではなく、もっと、もっと、愚かな人間になろう。

この世には、実際、それほど真剣に思い煩うことなど殆ど無いのだ。

もっと馬鹿になろう、もっと騒ごう、もっと不衛生に生きよう。

もっとたくさんのチャンスをつかみ、行ったことのない場所にももっともっとたくさん行こう。

もっとたくさんアイスクリームを食べ、お酒を飲み、豆はそんなに食べないでおこう。

もっと本当の厄介ごとを抱え込み、頭の中だけで想像する厄介ごとは出来る限り減らそう。

もう一度最初から人生をやり直せるなら、春はもっと早くから裸足になり、秋はもっと遅くまで裸足でいよう。

もっとたくさん冒険をし、もっとたくさんのメリーゴーランドに乗り、もっとたくさんの夕日を見て、もっとたくさんの子供たちと真剣に遊ぼう。

もう一度人生をやり直せるなら・・・・

だが、見ての通り、私はもうやり直しがきかない。

私たちは人生をあまりに厳格に考えすぎていないか?

自分に規制をひき、他人の目を気にして、起こりもしない未来を思い煩ってはクヨクヨ悩んだり、構えたり、落ち込んだり ・・・・

もっとリラックスしよう、もっとシンプルに生きよう、たまには馬鹿になったり、無鉄砲な事をして、人生に潤いや活気、情熱や楽しさを取り戻そう。

人生は完璧にはいかない、だからこそ、生きがいがある。
Peter F.Drucker 「マネジメントの父」とも呼ばれる、経営学の第一人者であり、社会思想家。「民営化」「知識労働者」「目標による管理」を初めとして、現代のマネジメント思想において、教授が創り出した概念や用語は数知れない。「ポストモダン」や「断絶」、「ナレッジ(知識)」といった目まぐるしく変化する現代を照らし出す原理も、ドラッカー教授が最初に示した。米国クレアモント大学院で社会科学とマネジメント理論を教えるかたわら、経営コンサルタントとして、フォーチュン500社に名を連ねる大企業のほか、美術館や慈善団体、協会、病院、小企業、大学、政府、大リーグ球団などの経営陣が抱える諸問題に50年以上も取り組んできた。2005年11月11日96歳の誕生日を目前にして永眠。

reference

wikipedia

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