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  • Posted on
    2009.01.08
  • posted by kenshin.

ソーラーストーム(太陽嵐)と地球の磁気シールド


最新の研究によると、地球の磁場の内側に予想外の太陽粒子の厚い層が存在していることが判明し、太陽に対する地球の防御体制に大きなほころびが存在する可能性があるという。
NASAの観測衛星テミス(THEMIS)のデータにより、地球の磁場が作る球状の防御壁である磁気圏の最も外側の部分よりも内側のところに、厚さ6500キロほどの太陽粒子の層が形成されており、急速に成長していることが明らかになった。通常、磁気圏は時速約160万キロで太陽から流れ出る太陽風のほとんどを遮断している。しかし、そのほころびによるシールドダウンの可能性が現実になった場合、太陽活動が活発化する時期になると、地球では過去数十年で最悪の太陽風が吹き荒れることになる。次の太陽活動極大期は2012年に始まると予測されている。

太陽から流れ出る荷電粒子は「太陽風」と呼ばれ、ときおり地球の極地上空に美しく輝くオーロラを作り出す。しかしその反面、太陽風により放出される電磁波によって電波障害を起こし、多くの通信システム(人工衛星、航空機の無線など)が使用できなくなってしまう危険性がある。さらに人工衛星の動力源で干渉が発生し、船外活動を行う宇宙飛行士が被爆の危険にさらされるなど、予想以上にその危険性は大きい。場合によっては地上の電力網が全滅する可能性も捨てきれない。これを防止するには、発電所などを停止して送電をストップし、強制停電を行うことが必要になると考えられている。大都市を中心に世界的に電力供給に影響が出ることが見込まれ、復旧に莫大な資金がかかり、経済的にも非常に大きな損失を招くことになる。

アメリカのメリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターに所属する宇宙天気の専門家デイビッド・シベック氏は、「太陽粒子が、地球の磁場内に侵入してエネルギーを蓄えると、巨大な磁気嵐が吹き荒れ、見たことのないほど美しいオーロラが輝き、地球の放射線帯に大きな乱れが生じる。すべてが本当に起きたら、極大期を迎えた後の11年間(2012~2023年)は非常に厳しい時代となるだろう」と話している。
『世紀末』も、既に遠い昔の話であるが、新世紀に入った地球文明も、あまり代わり映えがしない様である。Ecoを合い言葉に、企業や個人が地球や自然との共存と、資源の節約やリサイクルに意識をしはじめて既に久しい。しかし、そんな稚拙な文明をあざ笑うかの様に地球は、否宇宙は、新たな試練を我々に突き付けている様に思えてならない。

(出典・Victoria Jaggard in San Francisco for National Geographic News)

TEXT BY W.K


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