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  • Posted on
    2010.02.24
  • posted by kenshin.

伝統芸能の分解と構築






伝統芸能と、現代建築の新しい発展と構築。

建築家の伊東豊雄氏が昔の能舞台を通じて、東京湾岸に新しい能舞台を建築作業中である。
これはとても新しく、日本の文化が発展し、人々に能や、狂言がポピュラーになって行く象徴なのではないかと想像する。

しかし、近年は現在の人々の能や、狂言に対しての知識などが乏しく、とくに若い人たちにはあまり肌で感じられてはいないのではないでしょうか、、、。
古典芸能として、昔から言い伝えられてきている、重要文化財でありユネスコ無形文化遺産であるが故に、足を運ぶにはすこし重くなるのだろう。
日本列島、奈良時代に輸入されてきた散楽(さんがく)といった曲芸や奇術、歌舞などの雑多な芸能が大陸から輸入されてきた事でこの「能」や「狂言」が平安時代から発展していき、室町時代から鎌倉時代にかけて完成系が出来上がった。
内容というのはとてもシンプルで、説明すると、能というのは人間の心の内を表現する悲劇であり、狂言というのは客観的に表す喜劇である。
どういう事かと言うと、例えば、男は女に振られ、心底落ち込んでしまい、とても哀愁漂う雰囲気になる。そんな心の悲劇を美化したような演技が能であり。
その振られた男を、まわりの知人は、それを客観視することにより、その男の姿がとても滑稽に見える。振られてよかったのだ、落ち込んでても仕方がないと。人間が頑張って生きている姿を見て、それはとても滑稽に見えるのだろう。それが喜劇であり、狂言の世界観である。
とても人間をおもしろおかしく、そして美しく表す「能」「狂言」。
舞台には何も物が置いていない、それを全て表現するのが人である。
それは、見ている人たちがイマジネーションを働かし、俳優(能や狂言者)はさらにイマジネーションを燻られるようにクリエーションする。
そんな素晴らしい舞台を、伊東豊雄氏がさらにイマジネーションをし、そしてクリエーションする。
やはり、舞台有りけりの伝統芸能
伊東氏は、昔の江戸時代に湯島界隈で、行われていた感進能を表現されていた絵巻物の存在を知り、その根源をもとに能舞台を設計していく。
その表現方法は古典的な表現をぶち壊してしまうような感覚であり、とても真新しく、斬新な能舞台である。
素材に、「メタルや布をつかって、しかも足場とサポートを組み合わせただけのようなもの、これは建築ではないのではなかろうか、、、。」と伊東氏は語る。
これから時代は、古典的な美術を大事にするのか、大胆な発想で全く世に出ていない物をつくり上げて行くという世の中である。だが、伊東氏はその中間的存在で、うまく古典的、現代的をうまく中和させたような考えであり、この日本から古く伝えられた伝統芸能を理解し、いい所だけ残し、より研ぎすまされた空間を表現しようとしているのではないのだろうと憶測する。
舞台が完成した日から、いったい何が代わり、何が残っていくのかとても楽しみである。 そしてこの能舞台で舞う、狂言師の野村萬斎氏を是非とも拝見してみたいものだ、、、。




伊東 豊雄

1941年生まれ。1965年東京大学工学部建築学科卒業。1965年‐69年菊竹清訓建築設計事務所勤務。1971年アーバンロボット設立。79年伊東豊雄建築設計事務所に改称。現在、事務所代表取締役。1988年~89年東京大学工学部建築学科非常勤講師。1991年コロンビア大学建築学部客員教授。1999年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)建築学部客員教授。2002年~07年京都大学工学部非常勤講師。2002年~多摩美術大学美術学部客員教授。2005年~くまもとアートポリスコミッショナー。






参考資料  
東西アスファルト事業組合  wikipedia


TEXT BY  NOKU

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