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  • Posted on
    2008.11.24
  • posted by kenshin.

かわいい我が子を旅に出そう

「Book Crossing」ってご存知ですか?
ブッククロッシングとは、世界中の本を愛する人達による「本に世界を旅させる」活動なんだそうです(詳しくは、こちらをご覧下さい → http://nicobooks.fukumats.com/index.html)。

「本を友達に渡したり、ベンチに置いてきたり、カフェに忘れてきたりする。その本には固有の番号がつけられていて、その本を手にした人がウェブサイトで番号を入力すると、その本がどんな旅をしてきたかが分かる仕組み。 現在位置を報告してまた世界に解き放つ。本は旅を続けていく......」


「読書」は、映画などと違い、すぐに誰かとその感動を共有できるジャンルではありません。そこそこのボリュームの本だと、ある程度の時間をかけて、その本の世界を旅することになります。だからこそ、その文章から受ける喜怒哀楽や悲喜こもごもの情景を「誰かと共有したい」と強く思うのでしょうか。
「この感動を誰かに伝えたい!」
「どうやって?」
「いっそ、この本を貸してあげようか?」
「すごく面白かったよ!ありがとう」
「そう?そんなに?なら、君の友達にも貸してあげるよ」
こんな風に人から人へと感動を運ぶ為に、本達の旅は始まったのでしょうね。
それがブッククロッシングという形になったのではないかと思います。

確かに「三国志」や「宮本武蔵」、「水滸伝」などの長編を読み終えた時の達成感や、ゆっくりと込み上げてくる感動は、言葉にし難いものがあります。
「若きウェルテルの悩み」や「カモメのジョナサン」などの短編でも、読者に与えるその衝撃たるや、計り知れないものがあります。
「これはもう読んでもらうしかない!」のです。

人は、「自分と同じものを信じる人を信じる」生き物です。
人は、非常に困難な「心」の共有を夢見て、その希望を一冊の本に乗せて、世界に解き放つのでしょうか...?

このシステムの一番優れた部分は、やはり誰が手にするか全く予測不可能なことでしょう。人一人の生活範囲など、実はごく限られた世界でしかありませんし、交友関係も非常に限定的(でしょ?)。
その限定された個人の壁を打破るのは、やはりこのウェブを介したナンバリングシステムです。
この番号を頼りに、自分の可愛い息子や娘達の居場所や、誰に読まれているかを確認しつつ...。また、誰かの愛娘を、思いがけず受け取った時の驚きと喜び、そんなことを想像しながら「ニヤニヤする」のがこのブッククロッシングの一番の楽しみの様な気がします。

僕も始めてみるつもりです。
さあ、一緒に旅にでませんか?

text: wk

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