Culture

>> Culture : Home

  • Posted on
    2011.02.08
  • posted by kenshin.

Richard Buckminster Fuller 〜エレガントな思想をDymaxionで具現化〜





リチャード・バックミンスター・フラーは建築家、数学者、哲学者、思想家、エンジニア、デザイナー等の多数の顔を持ち、現代におけるレオナルド•ダヴィンチと言われており、彼の有名な思想の一つとしてかなり早くから訴えて来たフラーの思想で現在では誰もが口にし、使うようになった言葉のひとつに「宇宙船地球号」があります。

地球と いう宇宙船はたくさんの人類をのせ、高スピードで自動的に太陽系を運行しています。この地球をそんな宇宙船に見たて、資源と人間のニーズを考慮してグローバルな問題の解決策を提案するといった、地球運営方を提案し、物事を大きな概念でとらえたのは、フラーが初めてだったです。

活動は多岐に渡り、25の米国特許。 28冊の著書。 芸術、科学、エンジニアリングおよび人文学の47の名誉博士号。 アメリカ建築家協会のゴールドメダル、英国のゴールドメダル建築家。何百万の公開講義・インタビュー(地球を57回周移動)。ノーペル平和賞の候補になったこともあるのですが、彼の持つ多様さと異能ぶりのせいで彼は終生どこにも属することがなく、異端とみなされてなかなか相応の評価が得られず、彼の発明はほとんど生産されず、ユートピア主義者として、夢見者の扱いとして商業的には成功する事はほとんどありませんでした。

しかし、彼の思想は当時の人々のかなり先を見つめていたこともあり近年にやっと時代が追いつき始め、その思想や哲学は再評価されて初めています。








例えば、彼の代表作である「ジオデシック・ドーム」は 正20面体を基本形として辺分割・面分割により3角形の数を増やし、緩やか な球形を構成でき、規格化された三角形の部材でドームをつくり、柱を使わず、内部に可能な限り 大きな空間を得られる上、強風、豪雪、地震などにも強く、原野のレーダー ドーム、軍用シェルターや住居、工場、レジャー施設などに広く利用され、 これまでに世界中で約20万棟が建設され、モントリオール万博(1967年) のアメリカ館や日本の富士山頂レーダードームもその構造が使われています。


フラーは、その考え方で都市そのものを覆ってしまうマンハッタンドーム 構想も発表しており、近年発見された究極の炭素分子構造「炭素60」にはフラーの予言した構造と同じ原理にもとずくことから、これに敬意をこめて「フラー・レーン」または「バッキー・ボール」と命名される等、再評価は高まりつつあるのです。

「スペシャリストではなくジェネラリストたれ」という信条は常に全体を見渡しながらカテゴライズされた垣根を飛び越えた思想で物事を見つめて行きながら、様々な発明を行うが故に当時の凡人の目にはマッドサイエンシスト、やユートピア主義者としか映らなかったのかもしれないのですが、確実に思想の巨人であったに違いありません。
















彼の発明で「ダイマクション」(Dymaxion=Dynamic & Maximum efficiency)は、最少のエネルギーで最大の効率を引き出すことを意 味し、その考えを1933年に、前輪駆動・後輪ステアリングの3輪自動車 「ダイマクション・カー」として開発します。

しかし、実用化にはいたりませんでした が、そのエレガントな思想を具現化するデザインや転回性能や特異な走り方と形状など今の車にはない特徴を持っており、造船技師の協力を得て設計されたこの自動車は、なんと ISAMU NOGUCHIがデザインを行い、世界で始めての流線型デザインと言う言葉も生みました、またこの考えをダイマクション・ハウスなどへ発展させて現在のプレハブ建築の考え方の実践、組み立てが簡単なうえ、低コストを実現しました。


フラーは1920年代から、地下資源の石油や石炭に頼らず太陽や自然から得られるエネルギーだけで生活できる可能性がありそれを追求すべきであるが しかし現存の経済や、政治のシステムでは実現出来ないと、今を予言 する事をたびたび発言し、独特の富の概念を公言していました。  それは、一般的に私たちの大部分に認められている貨幣ではなく 、人間の生命を維持・保護・成長させるものとし、それらを達成するための衣・食・住・エネルギーを、そして究極的には 、より効率的に成し遂げるための形而上的なものであるノウハウの 体系であるテクノロジー、それ自体が更に発展し続けるもの。

 それこそが「富」の本質であるとし、「自分の時間をより有効な探査的な投資に解放すれば、それは自分の富を増やすことになる」と訴えています。



21世紀が10年過ぎやっと20世紀型の生活や思想と決別し、21世紀の生き方を目指す我々はやっと早すぎた天才の偉大なる思想からいろいろと 知恵を借りる受け皿が整ってきているのではないでしょうか?





TEXT BY KESO

top