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  • Posted on
    2010.05.26
  • posted by kenshin.

The London Underground~輝き続けるデザイン~






イギリスはロンドンの地下鉄(Underground)のシンボルマークであるチューブ・マーク、チューブマップ、これらは地下鉄のシンボルだけでなく、ロンドンのシンボルといっても言い過ぎではないでしょう。
企業が持つ特徴や理念を識別する、コーポレート・アイデンティティー(Corporrate Identity 略:CI)の元祖と言われるほど、後世に多大なる影響を与えた偉大なるデザインです。

ロンドンの地下鉄は『Tube(チューブ)』という愛称で呼ばれており、『世界初の地下鉄』として世界中にある地下鉄の中で最も歴史が古い、1863年から開通されています。日本では薩長同盟が結ばれる少し前ぐらいの事です。
そんな時代から地下鉄が通っていることにまず驚きなのですが、地下に鉄道が必要なほど、すでにロンドンは大都会だったのです。
世界初の地下鉄が開通した1863年をかわきりにロンドンでは続々と鉄道会社ができ、路線が徐々に増え複雑になっていきます、会社が違うため乗り換えなどに支障が出てきました。そこで1900年バラバラだった鉄道路線はCharles Yerkes(チャールズ・ヤーキース)というアメリカの資本家に統合され1902年Undergrand Electric Railways of London Company Ltdという一つの組織に合併されました。
そして1912年コマーシャル・マネージャーに就任したFrank Pick(フランク・ピック)によって複雑になったシステム、連絡マップ、すべてにおいて『わかり易くする』改革が行われていくのです。 まず、フランク・ピックは丸に横棒のロゴを採用しました。そして駅名の表示など、読み易いこと、環境によく馴染む新しいフォントという依頼をEdward Johnston(エドワード・ジョンストン)に依頼します。
そして彼は依頼を見事に具現化したJohnston Underground(Underground Sans-serif)というフォントを生み出すのです。
このフォントの誕生は、それまでのヨーロッパにあった格調高くカリグラフィーのエッセンスを抽出し、且つ現代風なまったく新しいフォントで世界に反響を及ぼしました。 彼こそ現代書字法のリバイバルに最大の影響を与えた人物であり、20世紀以来、今日のレタリング・アーティストや書体デザイナーの仕事すべては、究極的に彼の恩恵を受けていると言われています。
しかしながらJohnstonというフォントは駅名表示の大きなディスプレイ用に作られたのでリーフレットや時刻表等の小さな活字サイズはジョンストンの生徒であったErick Gill(エリック・ギル)が制作したJohnstonよりもう少し繊細なGill Sans(ギル・サンズ)というフォント使用していました。






1933年London PassengerTransport Board ロンドン交通局が設立されすべての旅客交通機関の会社が傘下に入りました。そして世界中の地下鉄のmapに影響をおよぼしたロンドン地下鉄のmapの原型がHarry Beck(ハリー・ベック) の手によって1931年に誕生します。
この時はハリー・ベックはデザイナーではなくロンドン交通局の電子回路図の製図者でした。これまでは実際の地理的距離に基づいて地図を作るべきと考えられていた常識をくつがえし、彼は距離を無視し駅を等間隔に配置、乗換駅を強調して表示するとともにシステマティックに描かれた電子回路をもとに複雑な地下鉄のシステムを水平、垂直、45度の3種類の線と色のみを用いて地図をシンプルでわかり易いまさに簡素化するという新しい手法をもたらしたのです。彼は地下鉄利用者にとって重要なのは駅と駅の距離などではなく目的の駅までどう乗り継いで到達するかだという考えた。まさに彼がデザインした地下鉄のmapは見た目の美しさとともに利用者の事も考えてられているのです。そして、ジョンストンののデザインをもとに次々と新しいデザインが生まれていくのです。しかしこの功績にもかかわらずハリーにはわずか5ポンドの報奨金を与えただけだったのです。

彼の功績を見直す動きがようやく1990年代になってから始まり。 現在mapには彼の功績をたたえこう記さされている『This diagram is an evolution of the original design conceived in 1931 by Harry Beck』と印刷されるようになったのです

そして1970年代経済の浮き沈みが激しくなりロンドン地下鉄も車両や駅舎の補修も落ちぶれてデザインに気を配る余裕もなくなくポスターにも安くて目立つフォントなら何でも使いだした、しかし、ろんどん交通局も危機感を感じ交通局で使うすべてのフォントをJohnstonで統一する動きから小サイズようにRe Designが行われました。

1979年New Johnstonが日本人の河野 栄一によって生み出されます。そしてそのNew Johnstonは現在のロンドン交通局の駅名表示・標識・ポスターなどすべての各種印刷物に使用されています。
ジョンストンとハリーが生み出したデザインは数十年たった今でも時代と共に昇華され今もなお輝きを失わない。

すばらしいデザインというのは時が経っても風化されることなく、次に出てくる作り手に受け継がれ永遠に輝き続けていくものではないだろうか。




参考資料
wkipedia
Transport for London


text by GM



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