Fashion&Beauty

>> Fashion&Beauty : Home

  • Posted on
    2010.12.10
  • posted by kenshin.

Dress-up Doll





2010年6月、「FENDI」初となるキッズラインのショーは、Lenny Kravitz作曲によるVanessa Paradisの「SUNDAY MONDAY」で幕を開けた。 農夫や羊飼いといった牧歌的な田園生活を思わせるスタイルにインスパイアされたデザイナーのSilvia Fendi。育ちのよさを感じさせるカジュアルでシックな自由度の高いウェアの数々。girls、boysいずれも、ノスタルジーを現代的なエッセンスで再構築するコンセプトが功を奏し、この1回のコレクションでFENDIが抱くキッズイメージを作り上げることに成功した。更にFENDIは、今回Simonettaをコラボレーターとして指名。この意外性のある連携によって各メディアからは「子供服大国フランスのエスプリと、素材や仕立てにこだわるイタリアの伝統が融合し、全く新しい キッズウェアのスタンダードが生まれた」との評価を受けた。
また「GUCCI」は、新たにスタートする子供服の広告キャンペーンに、アーティストで女優のJennifer Lopezを起用。同コレクションは、アイコニックなGUCCIのテディベアをシンボルにした商品が特徴。世界こどもの日(国連が子供たちの相互理解と福祉を推進するために設定した記念日)である11月20日より、主要旗艦店6店舗(Milano、London、New York、Los Angeles、Hong-kong、Tokyo)で販売が開始された。GUCCIは、既に靴やアクセサリーなどのキッズアイテムを発表してきたが、本格的な子供服ラインの展開はこれが初めてとなる。前デザイナーのTOM FORDが過去に尽力したインテリアの展開に引き続き、今回のフリダ・ジャンニーニの子供服への取り組みは、女性ならではの視線でのモノづくりとしても、期待がかけられている。









FENDI、GUCCIの子供服ラインへの参入は、ホームコレクションなどと共にトータルライフスタイルブランドとしての位置付けを確固たるものにするという意味においては、両ブランドの成熟度合いが伺える。また、これまで「工場」として見られていた新興国の多くが、今では「市場」として熱い視線を送られていることとも、無関係とは言えないだろう。 景気と消費の冷えきった日本を通過して、中国をはじめとしたアジア市場へ進出することは、アメリカやヨーロッパのブランドはもとより、日本のブランドでさえも生き残る為の絶対条件となりつつある現在、LOUIS VUITTONやCOACHなど、今期大幅に増収したブランドの殆どは、アジア圏での販売強化と売上増によって成功を納めている。これら新たな市場を視野に入れたとき、トータルライフスタイルブランドであることは、非常に大きな意味を持っていると考えられる。何故なら、ブランド品を身に付けることは即ち「豊かさ」の象徴であり、消費行動の大きな変化として、needsからwantsに変わっていく為の重要な動機付けにもなっているからだ。
他にもDiorやChloe、Stella Mccartney、BURBERRYなど、数々のブランドが子供服市場への参入を果している。この様な価値観、ファッションの流れは、日本における団塊ジュニア世代だけの特徴としてでは無く、今や世界的な潮流となりつつあるのだろうか?自分の分身とも言える子供を、まるで着せ替え人形か何かの様に扱えること自体、日々の生活に追われるだけの貧困層では到底無理な話である。 夢のある子供服の話題と、単なるビジネスとしての企業戦略がリンクしているとは、なかなか考え難いことであるが、それでも子供達の笑顔と母親たちの満足が、ファッションというライフスタイルを通して世の中を明るくし、未来を価値あるものにしてくれるのであれば「これ程喜ばしいことは無い」と私は思うのである。








[reference]

日本繊維新聞(http://www.nissenmedia.com/)



text by wk

top