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  • Posted on
    2009.06.28
  • posted by kenshin.

Guido Mocafico ~Still Life Photography に見るFashionとArtの関係~





英和辞典によると「STILL LIFE(スティルライフ)」とは「静物画」のことである。
STILLとは「静止して動かない~」という意味で、LIFEとは「生きる」の他に「実物、本物、実体」という意味がある。
「Fashion」と言えば、服飾、髪型、化粧等からなる「服装」を指す。そして、服装と言えばおおむね「服」のことであり、それら洋服を中心に構成される「装い」としてのトータルコーディネートが、一般にはそのまま「Fashion」と呼ばれているに過ぎない。 特に洋服の場合、モデルが着用した様やその服の持つ機能性を、デザインと共に最大限引出し、あるイメージに則った「絵」として写真に収めるという行為は、ファッションフォトに課せられた重要な役割の一つでもある。
服が服としての魅力を発揮する為には、モデルという「個性」の存在が不可欠なのに対して、時に宝飾品や鞄、時計、靴などは、ファッションという大きな流れの中にありながら、完全に独立した「物」として、圧倒的な存在感と価値を示す。
それら「物」を主役とした静物写真は「スティルライフ・フォトグラフ」と呼ばれ、流れの速い「Hi-Fashion」の世界にあっても、ひときわ異彩を放っている。
特にエディトリアルの世界では、スティルライフ写真の専門家は星の数ほど存在している。その中でも彼、Guido Mocaficoの切取る「絵」は、その「リアル」さにおいて、他を寄せ付けない。
NumeroやParis Vogue、Faceなどの紙面を飾るGuido Mocaficoの静物写真には、洗練された美しさと同居する「真実」が表現されている。
それは、ファッションの世界で仕事をしながらも、彼のパーソナルワークは多岐に渡っている事と、決して無関係では無いだろう。例えば建築写真に取り組んでいるかと思えば、審美的、科学的テーマを自然界の中に探求し続けていたりと...。
その成果は、過去フランスのグルノーブル美術館やGallery Kamele Mennour、東京のHOUSE OF SHISEIDOにて開催された、作品展や写真展で発表されている通りだ。
1980年代初頭、Irving Penn、Richard Avedon、Helmut Newtonらによって、殆どのアイディアや手法をやり尽くされた感のある「ファッション・フォトグラフ」は、その後あまり興味深い写真分野としては語られてこなかった。しかしながら、これら「スティルライフ・フォトグラフ」には、コマーシャリズムやファッションを超えた芸術的可能性が満ち溢れている。







*〈Guido Mocafico(グゥイド・モカフィコ)〉 1962年、スイス生まれのイタリア人フォトグラファー(Still Lifeの専門家)。 ロンドン、パリを活動拠点に、ファッション誌や企業広告の分野で活躍中。 アーティストとしても有名で、写真展「万物の肖像」や3冊セットの写真集「Venenum」を出版するなど精力的。 クライアントには、BULGARI、DIOR、GUCCI、HERMES、HARRY WINSTON、YVES SAINT LAURENT等、メジャーブランドの名が並ぶ。


text by wk

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