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  • Posted on
    2010.09.02
  • posted by kenshin.

Organicというトレンド







健康に良い印象がある「オーガニック(有機栽培)」食品を食べる習慣の人は、むしろ肥満にご注意を!!

アメリカ・ミシガン大学の研究チームが米専門誌に発表した論文では、「オーガニック製品は、必ずしも低カロリーを意味しないのにそう思いこんだり、減量のための運動をやめても構わない」と考えたりしがちだという。研究チームは「『オーガニック』という言葉で、食事や運動に関する判断が惑わされている可能性がある」と警告している。


今現在も世界中で生産されている(2007年ベースで480億US$)オーガニック食品は、特に都市部においてプレミアム価格で販売されており、健康・栄養上も良いものだと信じられてきた。
昨今、巷に溢れる〝有機○○食品〟の健康上の有用性について、アメリカで重要な検討がなされた。その結果、50年に及ぶ文献のシステミック・レビューでは、「オーガニック製品が栄養的に優れている、というevidence(根拠)は見いだせなかった」という報告がThe American Journal of Clinical Nutrition誌に掲載され、物議を呼んでいる。
プレスにて、栄養成分にごく少数の差が認めらたが、オーガニック製品が健康上明らかに妥当性があるとは言えないと述べており、結論として「オーガニック製品をわざわざ支持する理由がみつからない」とした。

オーガニック、すなわち有機農産物とは、〝有機農産物の日本農林規格〟で定義されている「化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させると共に、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法」によって生産された農産物のこと。これらの農産物を原料にした化粧品や衣料品もまた、「オーガニックコスメ」や「オーガニックコットン」などとして前述の理由から売上を伸ばしている。

日本でも2007年頃から、これら自然由来の原料を使用して作られたオーガニック系ヘアケアプロダクツブランドが台頭し、特に2008~2009年は「オーガニック元年」と言われる程の盛況となり、新たな市場を形成した。例えば、1人の美容師の「こだわり」から始まり、今ではエスティー・ローダーグループ傘下となって世界中でシェアを拡大している人気商品や、NYの現役美容師が自宅のキッチンで調合したオイルがきっかけとなり創設されたリーズナブルでカジュアルなブランド、更にはドイツ系の大手メーカーによって〝プロフェッショナルユース(美容室専売品)〟として昨年発表された製品などなど。この他にも、大小様々なメーカーがしのぎを削っている。また、ヘアカラーリングの様な業務プロダクツにもオーガニック製品をラインナップしているメーカーもあり、これらは特に処方が難しく、本来化学的なものであるにも関わらず、原材料に有機系の素材を組み合わせるということで、製品としての安定性(腐敗、分離・分解、想定外の化学反応など)の維持に、難しい問題を抱えているといわれる。






この様に、過剰に拡大した「オーガニック市場」への懸念からか、今年の後半にかけて「次に来る」と言われているのがイスラエルコスメだ。(以前THE MAGAZINEでもとりあげた)ガミラ・シークレットやサボンなどが次々と日本上陸を果たすなど、美容業界にとっても新しい流れとなりそうだ。 イスラエルとヨルダンの国境、海面下417mに位置する「死海」は、世界で最も低い場所にある塩水湖として知られている。ヨルダン川から流れ込む水には出口が無く、強烈な太陽光で水がどんどん蒸発するため、塩分含有量は普通の海の10倍、約30%といわれる。その為、塩化マグネシウムやナトリウムなど、肌の新陳代謝に欠かせないミネラルが多量に含まれているので、これらが美容成分として注目され、化粧品に配合される様になったからである。

イスラエルでもまた〝オーガニックブーム〟で、コスメブランドがエコサートやBDIHを取得したラインを次々開発している。紅海やエイラットはリゾート地としても有名で、毎年ヨーロッパから多くの旅行者が訪れるという地理的な条件も重なって、ヨーロッパで今や定着しつつあるオーガニックの波も、しっかりとイスラエルまで届いているのだそうである。

また、世界中からユダヤ人がイスラエルに集まってくる、という歴史的背景もあり、特にロシアを中心とした旧ソ連から移民した技術者や研究者が1980年代後半以降急速に増え、元々頑強だったイスラエルの研究基盤をさらに強化した。しかもイスラエル軍では、各人の能力に応じてコンピューター情報部隊や医療、科学などの関連部隊に集められ、そこで徹底的に英才教育を受けた優秀な人材が毎年輩出されるのだ。そして1990年代以降、イスラエルは「中東のシリコンバレー」と呼ばれるまでに技術立国としての地位を築き上げた。

現在、インテル、IBM、マイクロソフトなど、米国を代表するハイテク企業の研究開発機関が、ここイスラエルに設けられている。これらのハイテク技術が反映されているのが美容医療だ。中東和平交渉が進んだ90年代以降、軍事メーカーの業績が軒並み下落。そこでそれらの技術力を生かした医療機器や美容医療機器の開発に乗り出した。

現在、世界の美容&エステのスキントリートメント機器市場の約30%が、イスラエル産と言われている。こうした美容医療の技術を用いたハイテクノロジーコスメもイスラエルには数多く、特に最近はアンチエイジング分野の研究が盛んである。


例えば日本の消費者が、科学性を全く無視し、まるで「無農薬宗教」の様にその裾野が広がっていっているとすれば、それはおよそ偏執的な傾向であると言わざるを得ない。市場もその動きを冷静に検討したり問題提起する必要が出てくるはずである。しかし、良質な自然原料と高度な技術力を武器に、世界を席巻するイスラエルコスメの台頭は、今後の日本の美容業界を展望してみる時、色々な意味でヒントを与えてくれているのかも知れない。

良質なオリーブの産地としても知られるイスラエルは、今後もオーガニック路線で展開していくであろうし、それプラス軍事を背景にしたハイテク技術や最新の科学処方をふんだんに注ぎ込んだ「ハイブリッド・コスメ」も有望だ。そしてやはり最後は「アンチエイジング」ではないだろうか?秦の始皇帝でさえもなし得なかった「歳をとらない」こと...。これこそが人類の長年の夢であるし、全ての女性の願望であろう。

オーガニックという信仰から覚めた後、日本のBeautyトレンドの向かう先とは?



[reference]

WWD BEAUTY

Wikipedia




text by wk

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