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  • Posted on
    2010.09.22
  • posted by kenshin.

FSA プロジェクト











再び世界大恐慌の到来か?と昨今思わせられるほど、世界情勢がめまぐるしく変わりつつある。
ここ数年の間 世界中の経済評論家やマスメデイアから頻繁に耳にする情報ではあるが、 只、それがどれだけの事なのか一般の多くの人に果たして伝わっているのだろうか? 世界の情報戦の中では各国が本当の真意を伝えていない事も原因であろうとも思うが、 特に先進国では、より複雑化した状況により何か目に見えない雲に覆われている様に感じる。

そんな中、なぜ、再び世界大恐慌と現代がそう例えられるのか?
数年前アメリカ発のサブプライムローン破綻以降、既に急速に数多くのメデイアで言論や論争が行われ、 そこには現代と比較されている1929年に起こった歴史の背景が色濃くフィードバックされている。

1929年の世界大恐慌の前は、無類のバブル景気が発生していました。 第一次世界大戦後の混乱から抜け出して、世界中が好景気に沸きかえっていた。 只、その中では密かに経済の病が進行していた。
アメリカには世界中から資金が集まり、世界中が株式投機と言うマネーゲームに興じました。
当時アメリカの株価は、バブル前の5倍に跳ね上がり、そんな中、1929年の10月24日、突如としてアメリカ株の大暴落が発生しました。 この株価の大暴落が起こった時は木曜日でしたので、ブラック・サーズデーと名付けられました。
株に手を出していた多くの人々は多額の負債をかかえることとなり、企業は資金繰りが大幅に悪化。
ウォール街のビルの窓から飛び降りて自殺する人も出てしまうほど、悲しい事にそれは惨事の始まりでした。
その当時、各国の政府は利上げやら規制やらをしたのですが、多額の借金をしてまで株を買う人も多く、株価の大暴落のダメージをさらに大きくしてしまいました。 ブラック・サーズデーによる株価の大暴落で負債を抱えたり資金繰りの悪化した企業は、あれよあれよと言う間にバタバタと連鎖倒産しました。
その結果、世界各国の失業率は急上昇してしまい、失業してしまった人々は、お金を使わなくなってしまいました。
その為、世界中の国で物が売れなくなり、物が売れなくなったのでさらにリストラが起こり、収入の無くなった人々が消費を手控えることでさらに物が売れなくなり・・・と言う悪循環が続きました。
このようにして、世界は大恐慌時代に突入しました。
そして、様々な分野にも飛び火し、第一産業でもある農業にも多大なる影響を及ぼす事になり、 失業した人々が大量に現れ、世界中で物が売れなくなってしまいました。
この時、売れなくなったのは物だけではなく生きる根底である食べ物も同じでした。 大恐慌前は沢山の食べ物を食べていたのに、みんなが食べ物を買えなくなってしまったので、農産物や畜産物の価格は大幅に下落しました。
農家の人々は農産物を売って生計を立てているので、農産物の価格が大幅に下落してしまうと生活が出来ません。
都市部の人々は日々の食べ物も無く「餓死寸前」であったのにも関わらず、農産物は価格調整のために廃棄されたり、減産したりした。
そんなさなか一筋の光が差し込んだ。
それは、ルーズベルト大統領が行ったニューディール政策でした。 フーバー大統領の後に就任したルーズベルト大統領は、世界でも類を見ないほど大規模な公共事業を行うことで雇用を創出しました。
ルーズベルト大統領のこのニューディール政策は未だに賛否両論ありますが、少なくとも、その公共事業の仕事にありついた人々は生活することができるようになりましたし、公共事業で得た収入で消費活動を行いましたので、アメリカ国内の景気は徐々に回復に向かいました。
さらに、ルーズベルトは過剰に生産されている農産物や畜産物を買い上げ、農産物や畜産物の価格が低下して収入が減少し、疲弊しきった農家や酪農農家も救われました。
只、その陰でニューデイール政策の効果を最大限にアピールできたのが経済学者でもある、ロイ ストライカーが牽引した、 FSAプロジュクト(Farm Security Administration; 農業安定局または農業保障局)だった。










ストライカーは、写真家ではなかった為、撮影者とは異なった観点から、写真作品の取捨選択、トリミング、利用方法の決定(新聞、雑誌、書籍等の発表メディアの選択など)現代で言うダイレクターして時に個性の強い写真家と対立しながらまとめあげた。

その功績は世界恐慌勃発後のアメリカの南部の農村の惨状および復興を記録する為だけでなくその当時の政府機関に対し、強く農民救済の必要性を訴える事になった。 このプロジェクトには多くの写真家が参加し、主に記録した10万枚以上の写真が混沌とした状況の最中 錯乱している情報に、写真という手法を使い真実を世間に知らせる事になった。 後にこのプロジェクトの写真作品は、ドキュメンタリー写真(ストレートフォトグラフィー)の重要な実例として、それぞれにおける分野として 金字塔となっている。

昨今、より複雑化した、世界経済や情勢の中 環境や新エネルギーへの思考を重点においた グリーン ニューデイール政策 をオバマ大統領が打ち出している、それに伴い、日本も含め世界が動き始めているが、 情報網の大きな雲に覆われている、末端の一般の人々に果たして、どう届くのだろうか?
大きな政策に身を任せ腰掛けているのではなく、FSAプロジェクトのようにそれぞれの分野の末端な人々が自ら、発信していく事が必要でないかと強く感じる。一枚の写真が世界を変える事が出来るのだから。。。




text by HM


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