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  • Posted on
    2008.12.10
  • posted by kenshin.

エビによる環境破壊と深刻な食糧への問題定義

エビっておいしいですよね。 海老フライやお寿司等 歯ごたえや味、結構好きな人は多いのではないでしょうか?
日本人は特に現在エビをよく食べる国です。2位がアメリカ 3位がカナダです
この3つの国でなんと世界の漁獲、養殖されたエビの70%を消費しているらしいのです。反対にエビを輸出してる国はどこが多いかというと中国、タイ、インドネシア等のアジアの国々とメキシコやブラジル等の中南米や南米の国が多いそうです。特に現在、世界の海産エビの総生産の4分の1が養殖のエビで占められています。単純に考えると我々の口にはいる4分の1が養殖のエビという事です。この数字も年々増えて3分の1ほどまで手が届きそうになっているみたいです。
80年代の後半から急速に発展してきた第三世界のエビ養殖、エビビジネスは
富裕国への輸出の為に生産されるこれらのエビは生産国にとって重要な外貨獲得の手段です。
今、この養殖のエビが様々な問題を提示しています。
まずはエビ養殖による環境破壊の問題です。
東南アジア、南アジアの沿岸を覆っていたマングローブ林が消えた主な理由は最初は皆、燃料確保の為の木の伐採と水田への転化に思われてきましたが、どうやらエビ養殖のために作られるエビ池の為のマングローブの大量伐採に他ならない事がわかってきました。 このエビ養殖用エビ池確保のためのマングローブ林破壊により周辺の漁獲高は激減し、周辺住民の漁業に影響を及ぼすのはもちろんマングローブで幼生期を過ごす様々な生き物の生態系に異変をきたしており、またマングローブ消失により台風による高潮の被害が軒並み続出し自然の驚異に住民はさらされています。

このエビ養殖池では水質管理のため大量の淡水を使うため地下水からのくみ上げを行い地盤沈下の害、またエビをまるまる太らせるため高栄養なえさが大量に用いられます。この高栄養なえさの大量投与により食べ残しや糞により養殖池の有機物濃度や栄養塩が相当高くなりウィルス性の様々な病気等が発生します。それを押さえるのに今度は大量の抗生物質を投与します。そういった汚染に近い養殖池の水を交換する際、化学物質や高濃度栄養塩、有機物を含む水が周辺水系に排水され河川を通り運河や海へ化学物質やたっぷりの抗生物質を垂れ流すのです。
また、この 高栄養餌投与→水質、底泥の悪化→病気発生→抗生物質、化学物質投与の繰り返し で養殖池そのものの汚染により
エビの生産性が低下、病気によるエビの死滅により池そのものが使えなくなってしまい ついには放棄してしまい次の場所へ養殖池を引っ越してしまういわゆる「焼き畑式」エビ養殖が結果として行われています。 この放棄された池は土壌汚染により農地の転換など非常に難しく、ただの荒れ地となってしまう事がほとんどだそうで、デルタの砂漠化という現象が起こっています。

また、このエビビジネスは人為的被害をももたらしています。 このエビの国際価格の高さにつられエビビジネスを始める都会の投資家等がエビ池主となる為に地元警察や行政、マフィア等の力を借りて地域住民を脅したり、日常的な暴力による土地の巻き上げ、低賃金や過酷労働による詐取、さらには頻繁におこる殺人事件等多発していたりと問題は様々です。

現在、この問題を解決しようとウィルスを出さない様に水の浄化システムを組み込んだ長く使える池の開発や環境破壊や人権侵害の生産プロセスを消費者が監視して格付けして行くエコ•ラベリングの導入の検討等ポジティブに動いて行こうとする運動等も行われていますがその取り組みは本当に始まったばかりです。
皆、エビを食べるなと言えばそれまでなのかもしれませんが、今日、安い価格で我々がエビが食卓に並ぶのもこういったいろいろな犠牲の上に成り立っている事も忘れてはならないのでしょう。
問題はこのエビ養殖の様に環境問題と食料問題を併せ持った問題は他にもまだまだあり、氷山の一角といえるのではないでしょうか。いわば20世紀的な大量生産大量消費から来る歪みのようなこういった問題にわれわれ21世紀を生きる者としてどういう解決策があるかはまだまだ議論や、行動はスタート地点に立っているだけにすぎないような気がします。

text : keso

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