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  • Posted on
    2009.06.24
  • posted by kenshin.

アマゾン〜守るべき未来への知恵〜




南米の大国ブラジルには、世界に残されている数少ない手つかずの原生林が広がる世界最大の熱帯雨林、アマゾンがあります。
その大きさは日本の国土の17倍もあり世界の二酸化炭素の4分の1を酸素に変える事から、地球の肺とも言われておりアマゾンの密林には魚や鳥、昆虫、植物、微生物など私たちの想像を絶する種類の生物が生息しています。
その数は100万種以上とも言われています。 このアマゾンに数千年、数万年も前からひっそりと暮らすインディオと呼ばれる先住民族がいます。
『森は私たち自身であり、私たちのこころの拠り所である。森がなくては、私たちは呼吸できず、私たちの心臓は鼓動する事を止め、やがて私たちは死ぬだろう』とあるインディオの長老は語っています。
森に恵みを受け、知識を得て、自然と共に生きる事を、先祖代々何万年も受け継いできた、その自然の知識は膨大なのです。
人間は多くの植物を昔から食用、資材、それに「薬」として利用しています。西洋薬学がその利用法を知っている植物は、実はたったの二百種くらで「漢方」も意外に同じくらいです。つまり今の薬学は、全植物のほんの一部しか利用法を知らないのです。
現在の薬品は、化学合成が主流で、その大半は自然薬の知識が先にあって、人工的にその「疑似物」をつくってるものです。だから自然薬の知識が限られてるということは、合成薬品の可能性も制限していることになります。西洋薬学では、いま治せない病気がいっぱいあります。
しかも合成薬品にはリスクが多くて、しばしば致命的な副作用を引き起こしたり、ごく短期間で病原体に「克服」されたりしてしまいます。
ところが、この点でインディオの知識は凄くて、彼らが利用する植物種は、数千にも及ぶと言われています。今の医科学が無力である病症でも、インディオの呪医=シャーマンなら治せる場合があるのです。しかも彼らの使う自然の植物薬には、合成薬品の持つ弱点がないのです。
 その一例がマラリア特効薬の「キニーネ」という薬です。これももとはインディオの知識でした。かつて米国の医薬産業は、その疑似薬を合成したけど、たちまち病原体に「乗り越え」られ、役に立たなくなってしまいました。最先端の薬学も、一万年の伝統を持つインディオの知恵にはかなわないのです。   こういった彼らの膨大な知恵に世界各国の製薬会社が目を向け研究者を続々とアマゾンに送り込みました。彼らには文字を書く文化が無く、口伝えの知識なので聞くしかないため弟子入りしたりするそうです。  伝統的な医療慣習を研究し、薬理学的研究と商品性のある製品開発のために植物を選別することは、民族薬理学として知られているそうです。行きあたりばったりの植物選別実験に要する経費や時間を節約するために、製薬会社による民族薬理学利用の度合は増しています。それによる利点は多大なのです。
 先住民族はすでに治療に適切な植物を見きわめており、どこに生息しているか、いつ摘みとればよいか、植物のどの部分を使えばよいか、どのようにして薬として使えるようにするか、また薬の保存方法や管理方法についても心得ています。
こういった彼等に教えてもらった知識や動植物を自国に持ち帰って新薬開発の参考にするのです。 しかし、製薬会社が製品の特許をとり利益を得る一方で、このような先住民族による価値ある貢献については「単なる」伝統や民族的伝承であるとみなされ、無視されているのが実状です。
 先住民族が発見した薬草に由来する薬品の市場価格は年間430億ドルを超えるが、それによる利益のほとんどが先住民族に分け与えられていません。
 近年ようやく彼らに利益を還元する義務について製薬会社の間で認識が高まっています。 アメリカのシャーマン製薬は『先住民族は世界中の人々に新薬をもたらすような知識を持っています。彼らからの貴重な贈り物に、私たちはそろそろ気づくべきでしょう』と述べています。
 ブラジル政府もアマゾンに眠る膨大な遺伝資源を重要視しており、先進諸国がアマゾンの遺伝資源を国外に持ち出す場合には、特許料の支払いを要求するようになってきました。現行の国際的な特許制度のもとでは、先住民に伝わる知識など、もっぱら口承で伝えられる知識は特許の対象とはなっていませんが、ブラジル政府は、アマゾンの貴重な遺伝資源が国外に持ち出されることによって、毎年100億ドルもの経済的損失が発生していると主張しています。現在、ブラジル政府は、アマゾン一帯に生息するすべての動植物の採集、持ち出しを禁止しています。持ち出しが見つかると罰金ではなく即時逮捕の実刑になります。
今騒がれている、新型インフルエンザも、今後、人々を恐怖に陥れるような病気も、地球の未来を担う多くの知恵や資源の宝庫に生きるインディオがその鍵を握っています。 開発が進み開拓されているアマゾンの大自然とインディオの知識、文化の貢献を人々は知り、守っていく必要があるのではないでしょうか。アマゾンが無くなれば、彼等が言うように私たちの心臓は鼓動することを止めるのであろう。 余談だがアマゾンの熱帯雨林は年間2万5千㎢(東京ドーム1万2千個分)消失し、200万人いたと言われるインディオは現在25万人へと減少したといわれています。

参考資料 united nation
text by G.M

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