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  • Posted on
    2009.08.02
  • posted by kenshin.

カエルツボカビ症〜世界規模の種の絶滅の危機〜







種の絶滅ということを連想すると凄く恐ろしいです。考えたくもないし、起こってほしくもないコトです。 今、両生類が未曾有の種の絶滅の危機にさらされています。
海外では既に両生類の感染症に前々から悩まされ、カエルやサンショウウオが激減し絶滅の危機にさらされています。その感染症とは「カエルツボカビ症」というかなりの感染率と死亡率の高い感染症なのです。

カエルツボカビの根源となる菌は遊走子嚢と言い、遊走子とは「運動するためのべん毛を持った胞子」のことです。 この菌はカエルの表皮にある「ケラチン(タンパク質)」を栄養源にします。
水の中で泳ぎ回り、両生類の皮膚に感染していきます。この遊走子はかなり生命力の高い菌であり、水中で最高7週間も生き続け、その間に両生類の皮膚に片っ端から付着して行きます。 両生類だけの感染だけでなく、一部の淡水性のエビにも感染する様子で、これもまた問題視されています。しかし、人間や魚には、いっさい感染しないと報告されています。
カエルツボカビ症はかなり昔から存在していたことが確認されており、もっとも古い記録では南アフリカの博物館に収蔵されていた、1938年のアフリカツメガエルの標本から見つかっています。1998年にこの感染病の存在に気づき、最近になり急増していることが確認されており、急ピッチで研究されています。現在、解っている事は、カエルツボカビ症は熱に弱い菌であるという事です。 やや低温を好み、成長に適した温度は17~25℃で23℃が一番適している温度です。 そして28℃では成長が止まり、およそ30℃では死滅していくことがわかっていますが、熱帯魚の住む環境でさえ水温24度前後と生物の住む環境下では菌自体は適正環境なのでしょう。


2006年に日本でのカエルツボカビ症が発見されました。 その発見されたのは国内の屋内だったのが、救いでした。これがもし野外でカエルたちがぴょこぴょこ動き回りいろんなところに旅に出ていき、例えば田んぼに「カエルツボカビ症」が発生する事によって、その田んぼのなかの両生類たちが一気に絶滅してしまうという事態に巻き込まれてしまいます。 あとは人間がカエルツボカビを付着させた手や靴を自宅に持ちかえり、その手で水槽を洗い、そしてその水を流す事によって感染を広げてしまう可能性が拡大してしまいます。
この両生類の感染症でもし両生類が絶滅する事によって、何が起こるのか。 考えてみましょう。
かえるが田んぼに住み着いています、かえるは昆虫などを食べて生きていますが、かえるがいなくなってしまうと農業に多大な被害を及ぼす害虫などが大量発生し稲作などに影響がでます。そうすると私達人間の主食の米などが穫れなくなり、生態系までもがくるってしまいます。 食物連鎖の崩壊です。
そして、鳥やヘビ、天然記念物のイリオモテヤマネコはカエルを重要な食物にしていますが、かえるが絶滅する事によって、かえるに頼っていきていた生き物達にも貧困がはじまり、やがてその生き物達も絶滅していきます。すべてにおいてこの生態系は繋がっています。生き物達は大きい輪の中で生きています、その輪が外れてしまうとおおきなズレが生じ生態系がどんどんおかしくなり、いずれ食べる物もなくなり、極端な話ですが、食物のバランスは崩れ、食物のことがきっかけでやがて戦争が勃発し、世界中がまったくの焼け野原になってしまう。そして地球上の生き物達が絶滅に追いやられるのではないかということも想像できます。
ただの両生類にしか移らないカビの一種であり、それ以上は人間に被害はないなどと軽く考えれる問題ではないようです。
カエルツボカビ症の感染で、多大な被害を被っているのは現在、オーストラリアと中米です。オーストラリアと中米ではアジアとは比べ物にならぬほどの遊走子に悩まされています。すでに両生類たちが壊滅的な危機にさらされています。 野外に広がってしまうともう手をつけれなくなり、感染をストップさせるのは、不可能です。それ以上の感染をストップさせる為にオーストラリアでは輸出入検疫を強化するなど、国家レベルで対策を施しています。日本もこの「カエルツボカビ症」に悩まされないようにもっと深刻に考え、メディアに呼びかけ国家レヴェルでの対策を早急にとらねばあらゆる種の絶滅になりかねません。



参考資料 WWF 、All About 
TEXT BY   NE

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