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  • Posted on
    2009.08.14
  • posted by kenshin.

Johannesburg Train Surfing (ヨハネスブルグ トレインサーフィン)







2010年のワールドカップを目前に控えた南アフリカ共和国。

ソウェットは南アフリカ共和国の首都 ヨハネスブルグの外れにあるこの国最大のゲットー地域である。

このゲットー地域、ソウェットで暮らす少年、少女たちの間で絶大的な指示を集める非合法で勇気と命を賭けた危険行為「Train Surfing」が社会問題となっている。

ヨハネスブルグの中心へ向かう、ソウェットの人々の足である通勤列車。
少年達の危険で命を懸けた行為はその列車で行われる。


プラットホームから走り出す列車に並走しながら砂利を蹴り、駆け上がる少年達、 列車がホームから出るスピードに合わせ、走り出す列車の車両とホームを交互に駆けながら出たり入ったりを繰り返す。
こんな危険な行為はまだまだ彼らのウォーミングアップにしか過ぎない。
列車がホームを離れ徐々にスピードが乗り出すと今度は窓や、仲間が無理矢理こじ開けたドアから身を乗り出し、列車の外側についているバーや窓部分を伝い、スピードをあげて走る車両に腕のみでぶら下がり、迫りくる信号や鉄塔をわずか数センチ越しで身を縮めたり体勢を入れ替えて避けていく。
もちろん足が迫ってくる鉄塔等にぶつかれば足はもげて飛んでいくことになるし、手を滑らせればスピードに乗った車両から落ち地面に叩き付けられ即死する。

少年達は列車がスピードに乗ると今度は器用に列車の屋根によじ登り、相当なスピードで走る列車の屋根をジャンプしながら移動を繰り返す。
ここからが少年達の危険行為の命を懸けたゲームの本番であり「トレイン サーフィン」と言われる所以でもある。
少年達は風を切りながら走る列車の屋根に立ち、次々と迫ってくる高圧線、鉄塔、陸橋を踊るかのようにしゃがんだりジャンプしたりしながら避けていく、避け方の技の名前もあるらしく、中でもトンネル通過時は危険度が増す。
真っ暗の中、列車につかまりトンネルの側面を走ったり、迫りくる鉄製の架線や信号機をギリギリでやり過ごしていくのがスリルであり失敗は即、死につながる。

もちろん、この様な違法で危険な行為を鉄道会社が放っておく訳ではなく、 普段は治安の悪さ等から鉄道側も警備員を常用的に雇い、こういった危険行為阻止や電車内でも治安保持につとめているが、経済の不安定などから度重なる警備会社のストライキによりストライキ中にこのような危険行為が頻繁に行われるという。





なぜこのような危険なゲームを少年達は行うのか?
その背景には根強く残るアパルトヘイト後の人種差別や失業問題等複雑な社会問題が背景にあると、このような少年達を追いかけて記録に残し続けているフォトジャーナリストであるJames Oatwayは語っています。

推計100万人規模の人口であるソウェトは慢性的な貧困に悩まされておりヨハネスブルグに職を求めて地方から出てきたアフリカ系住民が流入し、空き地にバラック小屋を建て土地の不法占拠、殺人、強盗が日常的に横行する地域もあるゲットー地域です。
ここで育つ10代の若者は慢性的な貧困、学校を出ても職がなく、頻繁に起こる家庭内暴力など、、、未来に希望が持てない様々な出口のない問題を抱えており、少年達は自分の存在を確認したり証明したりするのにこのような危険な方法を選び取っているとソウェットの子供達を支援するソーシャルワーカーは語っています。

ある少年はこの「Train Surfing」を楽しんでいる時にだけ周りの少年から喝采を浴び、究極の自由を感じ、日々のつらい生活を忘れ、自分が唯一生きている気持ちになれると言います。
少年達はhip hop musicを聞き、ギャングスタファションや黒い洋服を身につけお酒を煽り、列車に飛び乗り次のゲームを行う為に駅のホームに消えていきます。


少年は言います
「列車から落ちて死ぬのは怖くはない、たとえ死んでも今度、生まれ変わる時は白人に生まれるかもしれないから」
















reference     BBC NEWS、 photo ジェームス•オートウェイ


TEXT BY KESO

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