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  • Posted on
    2008.11.14
  • posted by kenshin.

アジア系アメリカンのティーンと日本の文化資源


『私達にはリアルにお手本になるアイコンが存在しないのよ!!』   Vanessa Wang(仮名)  ファッションモデル

アメリカの歴史においてアジア系アメリカ人はそれほど長く移民としての歴史を持ち合わせていない、いわば後から来た人達なのかもしれない
それはよく、「忘れられた」とか「見えないマイノリティー」などとも言われてきているように、現在のアメリカ社会においては彼らの頭上にはガラスの天井とも呼ばれる物が存在するらしい。 言葉通り目に見えづらい社会の天井なのである。
マイノリティーといえばステレオタイプ的な発言からすればヒスパニック系、アフリカ系の人口や社会的な立場や、所得の低さみたいなイメージがある(ヒスパニック系は人口の多さからいうと例外であろう)
しかし、マイノリティーでもアジア系においては持ち前の民族性なのか勤勉、真面目、家族のつながりが強いというのも有り 勉強がよくでき 教育が素晴しく行き届いている人達が非常に多い。
教育のレベルに伴い所得も高いのだが そこにお金を軸とした格差の差別には全くもって意味をなさなくなっている 学歴も有り、所得も高く、3世、4世など言葉の壁など全くなく、もはやステレオタイプ的な見方のマイノリティーとは言えないのであろう。
だがアジア系アメリカ人は見かけや習慣、それこそ口にする物も違うと、どこか異質な人とみられるのも現実であり、何かしら「異質の見えない壁」が有るのだと言う。
先日、ファションモデルを生業とするアジア系アメリカ人のティーンネージャーと話す機会があった。彼女は中国系3世で生まれも育ちもカリフォルニア、どっちかと言うと都会の方に属してる子だ。
やはり彼女にもこの異質な見えない壁は有るようだ。
彼女曰くファションや生き方のお手本となる"アイコン"や共感できるアイドルがアメリカにはいないらしい。
どういう事かと問うてみると、どうやらクリスティーナ•アギレラやアシュリー•ティスディルやマイリー•サイラスなどではアジア人にとってリアリティーがなく何か違和感が有るらしい。ルーシー•リューは?と聞くと「あんなのおばさんよ、ティーンではないわ」と即答。じゃあ「チャン•ツッイーは?」と聞くと、「キャッチィ-ではない」との事。
しかしそんな彼女がお手本にしてるのはなんと浜崎あゆみである。キャッチーでリアルと言う事なのだろうか?どうやら話を聞くと彼女だけではなく、他のアジア系の子たちも浜崎を始め日本のモデル事情やアイドルには詳しいようだ。 髪の毛を切りに行く時はJJやCanCanの切り抜きをヘアーサロンに持って行く、ネットや日系の本屋さんでちゃんと日本のトレンドをチェックはしているとのこと。どうやら自分たちのフィットする感覚やアイコンとなりうる人を捜し求めた結果、日本が好きというよりも自分たちが共感できるアジア人のスタイルとしての評価らしい。憶測ではあるがそのバックグラウンドには、幼少の頃からテレビで流れていたドラゴンボールなどを始め輸入された日本のアニメの擦り込みも影響しているのではないだろうか?
そういう見方であれば日本の女優というよりもティーンにうけるアイドルなどはまだまだ活動の範囲や新しいマーケットの開拓はできそうだし、所属事務所も新しいマーケット戦略は打てるはずであろう。
とにかくアジア系アメリカ人にとっては共感できるアイドルやアイコンなど自国にはなく現在、輸入物に頼るしかなく、所得や社会的地位などのステレオタイプ的なマイノリティーという括りではなく文化的なスタイルの財産の格差がいわゆるマジョリティーと言われる白人の子たちとは「異質の見えない壁」と共に確実に横たわっているのかもしれない。
彼女、曰く「私はJJ派ではないわ、もっとアグレッシブなVIVI派よ!」と言う言葉に、まだ日本には輸出する文化資源が有るんだなと感じざるえない言葉であった。


TEXT: KESO


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