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  • Posted on
    2010.08.02
  • posted by kenshin.

オゾン層破壊の今を考える







太陽は、地球上に光と熱を届け多くの生命を育んでいますが、太陽光には有害な紫外線である「UV-B」も含まれています。この紫外線を吸収し、地上の生物を守っているのがオゾン層です。 オゾンは、酸素原子3個からなる気体で、高度約15000~50000mまでの上空(成層圏)には、大気中のオゾンの約90%が集まった「オゾン層」があります。オゾン層では、オゾンは常に分解や生成を繰り返し、一定のバランスを保っています。しかし、フロン(正式にはフルオロカーボンという)などの化学物質の影響で、このバランスが崩れ始めたことが現在の様々な問題を引き起こしていると考えられています。

フロンは、炭化水素の水素を塩素やフッ素で置き換えることでできた物質の総称ですが、化学的に極めて安定した性質を持ち、不燃性、無毒、安価で液化しやすいことから、冷蔵庫やエアコンの冷媒、電子回路などの精密部品の洗浄剤、クッションやウレタンなどの発泡剤、スプレーの噴射剤などとして、広く利用されてきました。オゾン層破壊の原因となる物質はフロン以外に、消火剤として使われるハロン、洗浄剤等に使われているトリクロロエタン、溶剤やフロンの原料の四塩化炭素、農薬として使われている臭化メチルなどがあります。
特定のフロンは化学的に安定な物質であるため、放出されると対流圏では殆ど分解されず、成層圏に達します。成層圏では、太陽からの強い紫外線を吸収して分解され、塩素原子を放出しますが、この塩素原子がオゾンを酸素分子に分解します。この反応は、塩素原子1個につきオゾン分子数万個を連鎖的に分解するため、多数のオゾン分子が次々に破壊されます。よって、フロンの大気中への排出を今すぐやめないと、オゾン層の破壊がますますひどくなり、今後も長期にわたって続いてしまうことになります。

観測が始まった1960年代半ば頃から80年代頃まで、オゾン層には大きな変化はありませんでした。しかし、80年代から90年代前半にかけて大きく減少し、現在も減少した状態が続いています。1979年と比べると、2008年のオゾン層の量は、地球全体で平均約2.4%減少しています。こうした中、1980年代半ば頃から特に注目されているのが、南極域上空の「オゾンホール」です。
南極域上空ではオゾンの減少が激しく、特に毎年8~12月頃にはオゾンの量が極端に減ってしまいます。人工衛星で撮影したオゾン濃度の解析図では、南極域上空のオゾン層に穴が空いたように見えるので、そう呼ばれる様になりました。
オゾンホールはオゾン層の破壊が進むにつれて大きくなっており、特に80~90年代にかけて急激に大きくなりました。その後もほぼ毎年大規模に形成され、2008年のオゾンホールは、9月12日に最大面積2650万平方kmに到達。これは、南極大陸の面積をはるかに凌ぐ大きさです。 過去に使用されたフロンなどのオゾン層破壊物質が、大気中にまだ多く残っていることから、こうした規模のオゾンホールは引き続き出現すると考えられ、現時点で縮小の兆しは全くありません。しかも、フロンなどのオゾン層破壊物質は、数十年という長い時間をかけて、ゆっくりと成層圏に近づいていく為、有害物質の排出を100%止められたとしても、今すぐにオゾンホールが消える、というわけではありません。









オゾン層の減少によって地上に到達する紫外線量が増加すると、人体への影響として皮膚ガンや白内障といった病気の発症、免疫機能の低下によるエイズ等のウィルス性の病気にかかりやすくなることがわかっています。また、動植物の発育を妨げるなど、生物細胞の遺伝子(DNA)や生態系にまで影響を及ぼすと考えられています。近年、世界中で皮膚ガンや白内障にかかる人が増加し、日本でもその罹患率は7倍に増えました。ある統計によると、20年後のオゾン層は現在の3分の2にまで減少し、最悪の事態になると予測されています。また地球温暖化の側面からも重大な原因のひとつである、というのが世界の共通認識となっています。
1985年、世界で初めて「オゾン層の保護のためのウィーン条約」を締結。87年には、この条約に基づき、オゾン層破壊物質の具体的規制内容を定めた「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択されました。その後、予想を遥かに上回る速さで破壊が進んでいることが分かり、モントリオール議定書は何度か見直され、オゾン層破壊物質の削減計画も早められました。 また、フロンは、どの国から排出されてもオゾン層を破壊していくプロセスへの影響は同じです。オゾン層破壊の被害は直接、間接的に世界の全ての国々や人々に及んでいくのです。そうした点では、オゾン層破壊という問題は国境を越えた大規模な地球環境問題であり、市民1人1人の生活にも密接に関係しているといえるでしょう。
オゾン層が消失してしまった後の近未来を描いたある物語の中。太陽風や紫外線、熱線などの動植物に対する有害な光線を遮るため、地球外周に特殊な装置によって発生させた人工の皮膜(層)を張り巡らせました。人々は何とか地上での生活を維持し、細々と生きています。こうして太陽光を防ぐことで何とか生き延びた人類でしたが、それと引き換えに昼も夜も無く(24時間薄暗い)、年間を通じてジメジメした湿度によりネズミや害虫、カビや細菌が繁殖し、その結果食糧難や感染症などに怯えながら惨めで悲惨な生活を強いられる、という最低な地球環境がそこには描かれています。 この物語は当然フィクションです。しかし、これを単なる想像上の物語と考えるのか、本当に起きるかもしれない最悪のシナリオと捉えるのかで、その結果は大きく異なってくるのではないでしょうか? 人類の努力や世界的な規制をよそに、2012年以降、太陽の活動は極大期へと突入し、太陽風(ソーラーストーム)による電磁波など、地球の文明生活に与える影響に注目が集まっています。また、今年の梅雨に象徴される局地的なゲリラ豪雨などは、明らかな気候変動期へのサインの様でもあります。混迷を極める世界経済や地球環境、宇宙のリズムなどは、良くも悪くも徐々に新しい段階へとシフトし始めているのかもしれません。

text by wk

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