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  • Posted on
    2009.02.26
  • posted by kenshin.

ROBOT SUIT HAL(Hybrid Assistive Limb)

人が動こうとする時、その意思は電気信号となり、体内の神経を通じて脳から筋肉へと伝達されます。

脳から運動ニューロンを介して筋肉に神経信号が伝わることで、筋骨格系が動作するのですが、その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面に漏れ出してきます。
HALは、装着者の皮膚表面に貼り付けられたセンサーで、この信号を読み取り、その信号を基にパワーユニットを制御して、筋肉が動きだすより一瞬早く、ロボットを動かすことができるのだとか...。装着者の筋肉の動きと一体的に関節を動かすことで、さまざまな動作支援を可能としています。一番身近なもので言うと、電動アシスト自転車が近いでしょうか?力を多く必要とする坂道にさしかかると、自転車のパワーユニットがその力の変化を感知し、自動的にモーターを動かすのに似ています。
例えば、50kgの荷物も、HALを装着していると数kgにしか感じない、という具合に。

HAL(Hybrid Assistive Limb)とは、体に装着することによって、身体機能を拡張したり、増幅したりすることができる世界初のサイボーグ型ロボットです。このロボットを創った「CYBERDYNE(サイバーダイン)」社は、筑波大学大学院の山海嘉之博士とその研究室の研究成果を「広く世の中の皆様にご利用いただけるように」と、2004年6月に設立された大学ベンチャーです。
博士が幼い頃に影響を受けたSF小説「I ROBOT」や、TVアニメ「サイボーグ 009」は、長い年月の末、この様なかたちで結実することとなったのです。
http://www.cyberdyne.jp/

このHAL、応用分野はかなり広く、福祉・介護分野における身体機能に障害がある方への自立動作支援、介護支援をはじめ、工場などでの重作業支援、災害現場でのレスキュー活動支援、エンタテイメントなどなど、さまざまな分野での活躍が期待されています。

とりわけ福祉・介護関係の現場では、筋力の殆どを失った方でも、HALを装着することで自立歩行を取り戻せることから、装着者のモチベーションを上げると共に、それまでのサポートスタッフへかかる負担を、かなりの割合で減らす事も可能となるでしょう。大袈裟かもしれませんが、業界の雇用問題の解消にも寄与できる可能性を秘めていると言えるのです。

現実の生活からは、一番遠いと思われていたSFやアニメの世界ですが、実現することで恩恵を受けるのは、まさに現実生活だったりするところが魅力的でしかも興味深い。
弱者を助け、巨悪を挫く「鉄腕アトム」の様なロボットが産まれるのは、一体どれくらい先の未来なのでしょうか?

*ちなみに、販売総代理店である大和ハウス工業(株)を通じて、福祉介護機器として、施設を対象としたリース・レンタル販売がはじまっていますが、現段階では、個人への販売は行われていません。


Text by wk

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