THE SALON STYLE JOURNAL

INFLUENCE

石岡瑛子が第85回アカデミー賞にノミネートされる




「偉大なる世界文化遺産にして貴重なる絶滅種」と写真界の巨匠 杉本博司が彼女の事をこう呼ぶ。

惜しくも昨年の2012年1月に癌のため鬼籍に入られた世界的に有名なコスチュームデザイナー石岡瑛子氏

米映画界最高の栄誉とされる第85回アカデミー賞の候補が2013年1月10日発表され、映画「白雪姫と鏡の女王」(ターセム・シン監督)の衣装を手掛けた故石岡瑛子(2012年1月、73歳で死去)が衣装デザイン賞候補に選ばれた。
2000年の「The Cell」から2006年「TheFall 邦題:落下の王国」 2011年「Immortals」2012年「Mirror Mirror」までタッグを組んできたターセム・シン監督の世界観には彼女のテイスト無しでは成立し得なかった「Mirror Mirror 邦題:白雪姫と鏡の女王 」でアカデミー賞に望む。

1993年に映画「ドラキュラ」(フランシス・コッポラ監督)で日本人で初めてオスカーの衣装デザイン賞を受賞しており今回受賞するとアカデミー賞は2回目となり日本人では前人未到の領域に入る。
彼女の活躍ぶりはあまりにも有名すぎるし、個人的に想いが強すぎるので、ここでいちいち説明するのは割愛させていただくが 70歳を超えられて精力的に活動なされていたし、彼女の自宅にはオスカー像が3つはいる様に棚が作られており、年齢を増すごとにクリエイティブなクオリティーが増していくのをまざまざと見せつけられて死してなお彼女の遺作の力強さに心打たれる。
ニュースで石岡瑛子氏が第85回アカデミー賞の候補になったのを聞いて
彼女の残した言葉が脳裏にマントラのように浮かぶ

「白いキャンバスを前にして、描くべき何かを持っている事ほど幸せな事はない。瞬発力と集中力と持続力を身につけて、知性と品性と感性を磨く。磨いて、磨いて、磨き続ける。あるとき、ふっと深い霧が晴れるように、何かが少しだけ見えてくる。 世界をリードするすぐれた表現者は、異口同音に私に向かって語りかける。表現者にとって最も大切な事はDISCIPLINE(訓練•鍛錬)だと。私も200%、同感である」


ぜひともオスカー像を穫っていただきたい。
発表は2月24日。





石岡瑛子

1938年東京都生まれ。東京芸術大を卒業し、61年に資生堂に入社。アートディレクターとして活躍し、日焼けした前田美波里さんを起用したキャンペーン広告などで新しい女性美のイメージを主張し、話題を呼んだ。70年に独立し、石岡瑛子デザイン室を設立。パルコや角川書店の大型キャンペーンを次々と企画し、ヒットさせた。 

80年に活動拠点をニューヨークに移し、映画、音楽、演劇、オペラなど多彩な分野でアートデザインを担当。映画「MISHIMA」(ポール・シュレイダー監督)のセットデザインで85年にカンヌ国際映画祭芸術貢献賞を受賞したほか、ジャズトランペッター、マイルス・デイビスのアルバム「TUTU」のジャケットデザインで87年に米グラミー賞、映画「ドラキュラ」(フランシス・コッポラ監督)で93年にアカデミー賞衣装デザイン賞を受けた。2002年に紫綬褒章を受章した。 

  • 2013.1.23